幸ちゃん教えて!〜大学生が国会議員山本幸三に迫る〜
第10回です。



「幸ちゃん教えて!」も、とうとう第10回を迎えました。

これからもどんどん更新していきますので、よろしくお願い致します。



さて、今回代議士にお聞きしたのは、最近新聞でよく見る、英国投資ファンドTCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド)によるJ-POWER(電源開発)株の買い増し問題です。


最近は個人で株をする人も増えてきましたが、株などやったこともない学生の私には「??」
な問題でした。


そこで今回は、金融・経済問題に長けている山本代議士に、この問題について、根本的にどういった問題なのか、注意を払うべきところ、この問題からの影響について詳しくお聞きしました。


 

☆。・*TCI問題☆。・*☆。・*☆。・*☆。・*☆。・*☆。・*☆。・*


{解説}
英国投資ファンドのTCIが4年前に民営化された電力卸会社J-POWERの発行済み株数の9.9%から20%に買い増したいと政府に届出をしました。日本では外資が「国の安全保障」や「公共性」に関わる会社の株式を10%以上保有する場合に、政府に届出をすることが義務になっています。今回TCIが政府にその届出をし、政府はTCIからの聴取を行い判断をした結果、株買い増しの「中止勧告」を行いました。



Q.この騒動の根本的問題はどういったものですか?

A.海外の資本に日本の企業が買収される際、その日本の企業が安全保障上重要であり、あるいは日本の国家戦略で大事な役割を果たしている場合に秩序を乱すようなことになりかねない恐れがあるかどうかの判断を下した訳だね。外為法外国為替及び外国貿易法)上は特別の場合に(保有株が)10%を超えると中止勧告を下せる規定があり、それにあたるかどうかということで注目された訳ですね。これは価値判断の問題だから、それぞれの立場があると思うけど、一方で日本の国会戦略とか社会秩序とかあるいは安全保障上重要だという判断をすることも当然ありうる訳だけど、他方でそこの基準が不明確であったり透明性を欠いていると海外から見れば「日本の市場は閉鎖的だ」「訳のわからん市場だ」と言う風に判断されて、海外の投資家は「日本なんか相手にしなくていい」と言う風になってしまう恐れと功罪両方あるんだね。



Q. 代議士は今回の決定に対してどう思われていますか?

A. 僕は個人的には日本の市場は出来るだけ透明性が必要でオープンであることが重要だと思うので、今回の決定はあんまり好ましいことじゃないと思いますね。
(外為審の勧告はJ-POWERが)原子力発電所を造る予定があるのだけど、送電システムを担っているから、運営がおかしくなる恐れがあるということが理由付けになっている。だけれどもTCIだってそれを邪魔しようと言う風に思ってないと思いますよ。こういう投資は「企業の価値を高めるために必要だ、重要だ」と説明すれば良く分かる筈だと思うのだよね。そこのところが(政府は)どうもTCIのファンドの投資家とコミュニケーションをとろうとしていないで、互いに反発し合っているということはあんまり好ましいことじゃない。もっと単純に言えば、電力会社というものは外国に持っていきようがないのだから、「投資してくれるだけいいじゃないか」というぐらいの前向きな気持ちで捉えた方がいいと思うね。
そして、いざ本当に安全保障上重要な場合には「国がかんちしますからね」というようなことを一つの条件として認める。やっぱり今世界の投資家から「日本の市場はおかしい」と見られて、日本の市場から引き揚げて株価が下がるという状況が続いている時にこういう判断をする感覚が良く分からない。それならそれでもっとはっきりとした基準を持たせないといけないし、僕は持って行きようのないものに金出してくれているだけで有難い話じゃないかと思うけどね。そしてそういう投資家と経営者がもっとコミュニケーションをとって、聞く耳を持って前向きになって欲しい。そういう努力をしてないで、役所が介入して中止勧告をするのはどうもあんまり海外からの投資の好ましい扱いではないね。



Q. この判断は外国資本が日本から遠のくという結果の原因となる、と思うということですね?

A. まあ、ジャパンパッシング(日本を通過してしまう)の原因になり得るね。


Q. 朝日新聞の記事でEUの委員が「日本の判断を尊重するが、判断を正当化するために、もっとしっかりとした理由付けが必要だ」と述べたとあったのですが、日本がしなければいけない規制の理由付けはどんなことだと思いますか?

A. 原子力発電所は重要だから、「それに反対することはダメ」と言う様なことをはっきり言えばいいんだよ。「それに反対するようだったら(株の買い増しは)ダメ」と言うのは良くわかりますよ。(TCIは)そんなことに反対している訳でもないから、どうしてダメ(買い増しの中止勧告)と言うのか良くわからないな。


Q. こういった閉鎖的な日本の体制は昔の伝統からきているものなのでしょうか?

A. 村社会の村の規定に背く奴は入れないという感覚でやるのだけど、もう時代が違うのだから国際的に評価されない様なことを言っていたってダメ。日経にも出ていたけど、良い商品を作っていたと思っていたら、いつの間にか世界基準じゃなくなっていてどんどん日本は撤退しないといけなくなっている訳でしょ。世界がどう見るかって事を常に念頭に置かないと日本は生きていけませんよ。どんどん日本は自分で自分の首を絞めているようなことが最近起っているような気がしてなりませんね。



Q. 今まで先生がおっしゃったのは日本の伝統にしがみ付く体制の負の面だと思うのですが、良い面はないのですか?

A. それは、一生懸命真面目で繊細な技術力を持っている、という良い所が沢山あるのだけれども、それを自分たちの世界だけで取り込むのはダメなんだよ。常に世界と競争する、世界に通用するという様な感覚を持たなければならないね。
苦しいけれども、世界で生きていけるような物事の進め方をやっていかなきゃ、日本は生きていけない。イギリスは一時期にダメになりかけたけんだけど、その時に徹底して海外に市場をオープンにして、海外資本を取り込んで金融立国になり甦った訳でしょ。そういうことを日本はやるべきなのに、逆じゃないの。むしろ出来るだけ介入に反対するって言うのは最小限に止めるべき。だから投資条件をつければいい、なんかあった時は国が介入し、勧告を出してそれに従ってもらうという前提をつければいいのだよね。そんなことは相手も当然受け入れてくれますよ。でも円卓会議で彼らとじっくり話したという経緯は全然ない。TCIのアジア代表のジョン・ホー氏はまともなことを言っていると思いますよ。




先生のお話を聞いて、この問題は表面的な株の問題だけでなく、外国との価値観、考え方の違いが浮き彫りにされ、日本がこれから他国とどのように付き合っていくべきか、とても考えさせられる問題であるということが分かりました。


各国の経済の繋がりが密になってきた時代だからこその問題であると思います。


これから柔軟に、日本は他国とのお付き合いをしていかなくてはいけないですね。









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