幸ちゃん教えて!
〜大学生が国会議員山本幸三に迫る〜

第13回です



福田政権の支持率が低迷しています。

その理由の一つにはメディアで大きく取り上げられている長寿医療制度問題があります。


そこで今回は、批判される側の自民党に所属し、医療・年金など社会保障制度にも造詣の深い山本代議士にこの問題について質問させていただきました。




★。*・★。・*★。・*長寿医療制度*・。★*・。★*・。★*・。★*・。★


Q.長寿医療制度は以前の制度とはどう違うのかということを説明していただけませんか?

A.これまでは医療保険というのは色々な種類があったんですね。サラリーマンは、会社で入っている健康保険、役人は共済、中小企業の経営者は政府管掌保険、その他一般の人が入るのは各市町村で行っている国民健康保険。それぞれの保険がずっとあって、お年寄りについてはそういう保険に加入している人が、金を出すという形で賄うという老人保険制度、というのがあった。形としてはそれぞれの保険だけの体系なんだな。
それで、今回の長寿医療制度というのは色々と誤解されているんだけど、75歳以上の人を一つのグループとした新しい保険を作ったわけだな。そこが昔と違う訳で、今まで縦割りで区分していたのを、年齢でその部分だけを横割りで一つのグループとして作った保険制度なんだ。






Q.それでは、なぜ長寿医療制度というのを新たに作ったのですか?

A,なぜかというと、今のままではそれぞれの保険がパンクしてしまうからなんだ。毎年毎年医療費は1兆円近く増えているんで、どんどん保険料を上げていかないと間に合わないし、とてもそれじゃ持たない。特に国民健康保険なんかは赤字続きで、市町村が悲鳴を上げているわけですね。基本的な考え方は、医療費の推移を見ると、75歳を過ぎるとがーっと医療費が上がるんですよ。ココが一番医療費がかかっている所なんですね。年をとれば病気になるリスクが高くなるから当然のことなんだけど、この急激に医療費が上がる75歳以上のグループというのはハイリスクのグループだから、ここを切り離さないと他の保険がパンクしちゃう。そして、この高いリスクの人達は保険制度だけではとてもやっていけないので、だから公費、税金を沢山この部分に入れないといけない。保険の社会というのは税金でやる世界である、という考え方なんですね。できるだけ税金をたくさん投入して何とか保険制度を維持させるための仕組みとしては、その部分だけを分けてやらないと出来ないわけだから、長寿医療制度は税金を投入しやすくするための第一歩としての制度なんですね。これを是非理解していただきたい。

Q.保険料の負担について物議がかもされていますが、代議士は保険料の負担についてどうお考えですか?

A.当初の出発は、理想は負担なしがベストだけれど、1割だけは高齢者の方々の自己負担としてお願いし、あとは税金を5割、残りの4割は今までのようにそれぞれの保険の加入者に負担してもらいましょう、というものでした。将来的に言えば、だんだん公費の負担を増やし、それで賄っていくしかない、と思っています。だから考え方としては悪くないですし、むしろそれ以外には方法は無い、とも言える。





Q.では、現在どうしてこの制度は問題になっているのでしょうか?

A.問題は、この制度では今まで保険料を払っていなかった人が年金から保険料を引かれるという事態が起こる、ということなんだ。今までは、1300万人のうち1100万人が保険料を払っていたが、200万人の人が被扶養者になっていて、扶養者がそのお年寄りの分の保険料を払っていた。長寿医療制度では、高齢者の方々は年金をもらっているものですから、保険料は各人ごとの負担ということになり、今まで保険料を払ってなかった人(高齢者の方々)が、突然年金から保険料を引かれるという事態が生じてしまう。そういう人は全体としてあまり多くないんだけれど、そこが問題であり、慣れるまで大変だと思います。
そのための経過措置として、半年間は保険料を取らないとか、残りの半年は保険料の負担を半分にする、など考えてはいるのですが、ちょっと負担感が大きく出るのかな、というところですね。




Q.他にも問題点はありますか?

A.その他では、今までは各市町村で国民健康保険をやっていたのですが、長寿医療制度都道府県という広域連合で運営するわけですね。そうすると、田舎の方なんかは人口が少ない場合、従来保険料をけっこう高い額を負担していたのですが、彼らは都会の所得の高い人達と一緒になるわけだから、保険料は下がる可能性が大きいわけです。一方、豊かなところ、例えば東京都の財政の豊かな区だと、区の補助が大きかったわけですけど、各都道府県単位で保険を運営するとなると、自分の区だけ補助を出すというわけにはいかないから、特別な支援策が取れなくなるので、そういう豊かな地域に住んでいる人たちは負担が増えてしまう可能性がありますね。そこら辺の見直しは必要だと思います。基本的な考え方はおかしくないと思うので、この制度は維持していきたいなと思いますね。もしそれがダメだ、というのなら対案を出してくれないとな。もし廃案になって元に戻ってしまったら、若い人達の負担はとんでもないことになってしまうよ。





Q.先日与党が、6月中に被扶養者に対する負担の軽減などを含む見直し案を作成する、と発表したのですが、これから政府の採るべき対応というものはどういったものであるべきだと思いますか?

A.制度の骨格はおかしくないからそれは維持して、負担が急激に増える人については経過措置を取って徐々に進める、という見直しが必要だろうね。それは、政府与党でもう一度しっかり検討し直して、出来るだけ無理の無いような形で移行していかなくてはならない、と思いますね。





Q.長寿医療制度に対する批判側としては、包括定額制により受けられる医療行為が制限される、医療が劣悪になる、という意見があり、厚労省など支持側としては、受けられる医療は同じであり、むしろ「生活を支える医療」を実現するための選択肢が増える、という意見がありますが、この医療制度の選択肢についての相反する主張についてどう思いますか?

※包括定額制・・・医療機関が行ったそれぞれの医療行為に対して診療報酬が支払われるのではなく、いくら医療行為を行っても、一定額以上の診療報酬は支払われなくなります。医療機関では、赤字になるような医療行為を続けることが出来ないため、患者様にとっては、受けられる医療行為が制限されてしまう、という懸念があります。


A.医療行為が狭められる、必要な医療が受けられない、などということは無いのでその辺は誤解のないように説明する必要があると思いますね。ただ、風邪とか簡単な医療のときに必要の無いような検査などをどんどんやってコストだけを上げるという様なことは、本来なら医療機関としての倫理観があればそんなことはないのだろうけれど、そういった事も無いとは限らないので、無駄を省くという形のやり方は考える必要がある。だけど、必要な医療が受けられなくなる、ということは決してない。そこはきっちりと説明する必要がある。








今回、長寿医療制度問題について代議士に直接質問させていただいたことで、メディアで取り上げられていることは実態の一部にしかすぎない、ということを認識するきっかけとなりました。


これからも問題は取り上げられ続けるでしょうが、私たちはメディアから情報を入手しつつも、主体的に物事を考えなくてはいけないな、と思いました。このように、この企画では現在問題になっていることなどに対する代議士の考えを皆様のもとへお届けしていきたいと思っています。








代議士へのご質問やご意見などございましたら、お気軽にコメント欄にお書き下さい。





いつもご覧頂き、本当にありがとうございます。





「幸ちゃん教えて!〜大学生が国会議員山本幸三に迫る〜」企画委員会




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